「サブ4ってどのくらいすごいの?」「自分みたいな初心者でも達成できるの?」
ランニングを始めてしばらくすると、必ずと言っていいほど耳にする「サブ4」という言葉。でも実際にどのくらいの難易度なのか、よくわからないという方は多いと思います。
私自身、陸上経験もランニング習慣もゼロの状態からマラソンを始め、約2年かけてサブ4を達成しました。その過程では何度も失敗を繰り返し、悔しい思いもたくさんしました。
この記事では、そんな実体験と客観的なデータを組み合わせながら、「サブ4の難易度」について徹底的にお伝えします。「すごいのか・すごくないのか」の単純な二択ではなく、「難しいが、正しく努力すれば届く目標」というリアルな答えを導き出せればと思います。
サブ4とは?基本をおさえよう

まずは基本から。サブ4(サブフォー)とは、フルマラソン42.195kmを4時間以内で完走することです。「サブ(Sub)」は英語で「〜未満」を意味し、4時間ちょうどではサブ4になりません。3時間59分59秒以内がサブ4です。
1kmあたりのペースに換算すると、5分40秒/km以内で走り続ける必要があります。「それほど速くないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。確かに、5分40秒/kmというペース自体は、ある程度走り慣れた人なら難なく出せるスピードです。
問題は、そのペースを42kmずっと維持し続けること。ここに、サブ4の本質的な難しさがあります。
ちなみに、関連する目標タイムも整理しておきましょう。
- サブ5:5時間未満(7分06秒/km)
- サブ4:4時間未満(5分40秒/km)
- サブ3.5:3時間30分未満(4分58秒/km)
- サブ3:3時間未満(4分15秒/km)
サブ4は、「完走できるようになった次の目標」として多くのランナーが掲げる最初の大きな壁です。
サブ4の難易度:データで見る「上位何%」なのか

「サブ4はすごいのか?」という問いに対して、まずデータで見てみましょう。
よく引用されるのは、フルマラソン完走者の上位20〜30%がサブ4を達成しているという数字です。東京マラソン2010〜2012年の3年間の累計データでは、完走者9万7,275人のうちサブ4達成者は2万1,284人。達成率は約20.9%でした。
つまり、フルマラソンを完走した5人に1人がサブ4を達成しているということです。
他のスポーツの「上位20%」と比べると?
「上位20%」という数字がどのくらいのレベル感なのか、他の分野と比べてみましょう。
- ゴルフ:スコア83以下
- ボウリング:アベレージ200以上(全日本選手権参加者の上位25%水準)
- TOEICテスト:745点以上(日本の商社の海外赴任に必要とされるレベル)
- キータイピング:10分間に1,670文字
こう並べると、サブ4は「誰でも簡単に達成できる」ものではないことがわかります。ゴルフのスコア83やTOEIC745点は、それなりに真剣に取り組まないと届かない水準です。
同時に、「上位20%」は「超エリートだけが届く領域」でもありません。正しく努力すれば、多くの人に可能性があるレベルです。
「真の達成率」は実は76%という見方も
ただし、「フルマラソン完走者の上位20%」という数字には、重要な落とし穴があります。
マラソン大会には、最初からサブ4を目標にしていない人も多数参加しています。完走だけを目標にしている方、サブ5やサブ6を目指している方、お祭り気分で参加している方など、様々です。
そこで、「サブ4を本気で目指していた人」に絞って達成率を計算すると、どうなるでしょうか。RUNNETの2018年度全日本マラソンランキングのデータをもとに計算すると、サブ4を本気で目指した人の達成率は約76%というデータがあります。
計算の考え方はこうです。サブ4達成者と、「惜しくも未達(4時間〜4時間15分)」の方を合わせた人数のうち、達成者の割合を出すと約76%になります。
「サブ4はとんでもなく難しい」わけでも「誰でも簡単に達成できる」わけでもない。正しいトレーニングを積めば、多くの人が到達できる目標—それがサブ4の難易度の実態です。
サブ4が難しい「本当の理由」3つ
では、なぜ多くのランナーがサブ4で苦労するのでしょうか。私が2年間の挑戦の中で感じた「本当の難しさ」を、正直にお伝えします。
①「5分40秒ペース」を42km維持することの過酷さ

繰り返しになりますが、サブ4の難しさの核心はここです。5分40秒/kmというペースは、ジョギング感覚で走れるスピードです。10kmや20kmなら、ある程度走れる人なら問題なく維持できる。
問題は、そのペースを残り10kmになっても、残り5kmになっても維持できるかです。
35km地点を過ぎたあたりから、脚は別物のように重くなります。「30kmの壁」「35kmの壁」とよく言われますが、これは誇張でも比喩でもなく、本当に脚が動かなくなる感覚です。この状態でも5分40秒/kmを維持するためには、それなりの脚の土台(いわゆる「脚作り」)が必要です。
②前半の飛ばしすぎが後半を地獄にする
マラソンあるあるとして、「前半調子が良くてペースを上げたら、後半に大失速した」という経験は多くのランナーが通る道です。
前半を5分20秒/kmで走り、後半に6分30秒/kmまで落ちると、合計タイムはサブ4に届きません。「前半に貯金を作ろう」という発想は、サブ4レベルではほぼ逆効果です。
理想はイーブンペース(前半も後半も同じペース)ですが、後半の体の変化を考えると、前半をやや抑えて、後半に余力を残すレース戦略が現実的です。これを実践するには、「今、自分はオーバーペースだ」と気付く判断力と、抑える精神力が必要になります。
③継続的なトレーニングを積む難しさ
サブ4を達成するには、一般的に月間150〜200km程度の走行距離が目安と言われています。週に換算すると35〜50km、1日平均5〜7km程度です。
フルタイムで仕事をしながら、家庭もある中でこれを継続するのは、体力以上に「時間の確保」と「モチベーション維持」が鍵になります。雨の日も、疲れた日も、走り続ける習慣をどう作るか。ここで多くのランナーが壁にぶつかります。
私自身、仕事が忙しくなった時期に月間走行距離が100km未満に落ち込み、走力が低下したことがありました。継続こそが最大の難関かもしれません。
私が経験したサブ4への道のり:失敗から学んだこと
ここからは、私自身の実体験をお伝えします。陸上経験もランニング習慣もゼロだった私が、どうやってサブ4を達成したか。その過程で何度失敗して、何を学んだかをリアルに話します。
ランニング開始〜初フルマラソン:まずは完走を目指した半年
走り始めた最初の頃は、5kmを走るだけで精いっぱいでした。息が上がり、脚が痛くなり、「こんな状態でフルマラソンを走るなんて無理だ」と何度思ったかわかりません。
最初の半年は、週2〜3回、3〜5kmを走ることからスタート。タイムは気にせず、まず「走ることに慣れる」ことだけを目標にしました。
初めてのフルマラソンは、サブ4どころか完走するだけで必死。後半は歩きが混じり、タイムは5時間台でした。それでも、42kmを走りきった達成感は忘れられません。
サブ4への挑戦開始:失敗を繰り返した1年
完走を経験してから、次の目標はサブ4に定まりました。ここから約1年、私は何度もサブ4に挑戦し、そのたびに失敗しました。
失敗の主な原因:
- 前半に調子よくペースを上げすぎて、35km以降に大失速
- ロング走(20km以上の練習)が不足していて、脚が42kmに対応できていなかった
- レース直前に練習を詰め込みすぎて、疲労を残したままレースに臨んだ
- 補給のタイミングと量をミスして、後半にエネルギー切れ
失敗するたびに悔しくて、原因を分析して、次こそはと練習方法を改善しました。この繰り返しが、最終的にサブ4達成への道を開いてくれました。
サブ4達成:「頑張らない」ことで達成した
何度目かの挑戦で、ついにサブ4を達成できました。そのレースで私が意識したのは、逆説的ですが「頑張らないこと」でした。
前半は周りのランナーにどんどん抜かれても焦らず、設定ペースを守り続けました。30kmを過ぎてもペースを維持できていることが確認できた時、初めて「今日はいける」と感じました。
35km以降、脚は重くなりましたが、練習で何度も経験していた感覚でした。「歩かない。7分00秒/kmに落としてもいいから、走り続ける」と自分に言い聞かせながら走り、ゴールした瞬間は本当に涙が出ました。
サブ4達成に必要な「走力の目安」
サブ4を達成するための走力があるかどうかは、他の距離のタイムで確認できます。以下の目安タイムを超えられていれば、サブ4の走力は十分備わっていると考えて良いでしょう。
| 距離 | 目安タイム | ペース |
|---|---|---|
| 5km | 27分以内 | 5分24秒/km |
| 10km | 52分以内 | 5分12秒/km |
| ハーフマラソン | 1時間56分以内 | 5分31秒/km |
特にハーフマラソンのタイムはサブ4の目安として最も信頼性が高い指標です。ハーフを1時間56分以内で走れていれば、フルマラソンでサブ4を達成するポテンシャルは十分あります。
ただし、「ハーフのタイム×2=フルマラソンのタイム」とはなりません。フルマラソンは後半に必ずペースが落ちるため、ハーフのタイムを単純に2倍すると楽観的すぎる予測になります。ハーフのタイムにランナーズ誌の「持久係数(通常1.10〜1.15程度)」をかけたものが、フルマラソンの現実的な予測タイムに近いと言われています。
サブ4達成に必要な月間走行距離と練習内容
「どのくらい練習すればいいの?」という疑問に答えます。
月間走行距離の目安

サブ4を目指すランナーにとって、月間走行距離は一つの重要な指標となります。一般的には、月間150km〜200kmの走行距離を安定して継続できれば、サブ4達成の可能性は高まります。
もちろん、月間100km程度でもサブ4を達成するランナーはいますし、逆に300km走ってもサブ4に届かないケースもあります。重要なのは距離だけでなく、質の高い練習を継続することです。
ただし、ある程度の量をこなすことで持久力の基盤が作られることも事実です。
私自身の経験では、月間平均200km程度の走行距離を維持していました。
ただし、一時期は仕事が忙しく月間100km未満になってしまった時期もありました。そのキャッチアップのために、フルマラソン直前の月には400km近く走ったこともありますが、これは必ずしも推奨できる方法ではありません。
安定して月間200km程度を継続する方が、怪我のリスクも少なく効果的です。
サブ4のための週間練習メニュー例
私が実際にサブ4達成時に行っていた週間スケジュールを紹介します。
- 月曜日:完全休養または軽いジョグ
- 火曜日:10kmランニング(レースペース5分40秒/km程度)
- 水曜日:完全休養
- 木曜日:10kmランニング(ペース走 または LSD)
- 金曜日:完全休養
- 土曜日:20〜30kmのロング走
- 日曜日:LSD(7分30秒/km程度のゆっくりジョグ、15〜20km)
週4日の練習で月間約200km。フルタイムで仕事をしながらでも現実的に続けられるスケジュールです。
特に重要な「ロング走」と「LSD」
サブ4達成において最も重要な練習が、ロング走(20km以上)とLSD(ロング・スロー・ディスタンス)です。
ロング走は、フルマラソンの後半に対応できる「脚の土台」を作ります。20〜30kmを練習で走っておくことで、レース本番の30km以降でも脚が動き続けるようになります。
LSDは、ゆっくりとした長距離走です。ミトコンドリアを増やし、脂肪をエネルギーとして使う能力を高めます。心肺機能の底上げにも効果的で、長時間走り続ける持久力の基礎を作ります。
サブ4達成の練習(私の場合)
ここからは、私が実際にサブ4を達成した時の具体的な練習内容をご紹介します。
この練習メニューは週4日のランニングを基本としており、仕事をしながらでも取り組める現実的な内容になっています。
すべての方に当てはまるわけではありませんが、一つの参考例として見ていただければと思います。
月間走行距離

先ほども触れましたが、私の場合は月間走行距離の目標は200kmほどでした。
これは週に50km程度、1回あたり平均12〜13kmの計算になります。週4日のランニングで、平日に2回10km、週末に30km走と長めのLSDを組み合わせることで、この距離を達成していました。
私が月間200kmを選んだ理由は以下の通りです。
- 怪我のリスクを抑えながら、十分な持久力の基盤を作れる距離である
- フルタイムで働きながらでも継続できる現実的な量である
- サブ4を達成した多くのランナーが、この程度の距離を走っているという情報があった
- 月間150km未満では走力の向上が感じられず、300km以上は身体への負担が大きすぎると判断した

一時期は仕事の都合で月間走行距離が100km未満に落ち込んだこともありました。その時の走力の低下を実感したため、フルマラソン前月にはキャッチアップのために400km近く走りました!
しかし、これは身体への負担が大きく、怪我のリスクも高いため、あまり推奨できる方法ではありません。やはり、月間平均200km程度を安定して継続することが理想的です。
練習内容は平日10kmランを2回、土曜に30km走か20km走、日曜日にLSD

私の基本的な週間練習スケジュールは以下の通りです。
- 月曜日:完全休養または軽いジョギング
- 火曜日:10kmラン(強度高め)
- 水曜日:完全休養
- 木曜日:10kmラン(ペース走)
- 金曜日:完全休養
- 土曜日:30km走または20km走
- 日曜日:LSD(ロング・スロー・ディスタンス)
このスケジュールは、月曜日と水曜日、金曜日は休養日または軽いジョギングに充てることで、身体の回復を優先しています。週4日のランニングであれば、フルタイムで働いている方でも比較的取り組みやすいと思います。
それぞれの練習には明確な目的があり、互いに補完し合う形で設計しています。強度の高い練習と低い練習をバランスよく組み合わせることで、怪我のリスクを抑えながら効果的に走力を向上させることができます。
以下の動画でサブ4時の私の練習メニューをお話ししていますので是非ご覧ください!
平日10kmラン(1回目)
火曜日に行う1回目の10kmランは、週の中で最も強度の高い練習です。
この練習の目的は、フルマラソン後半の苦しい状態でもレースペースを維持できる力を養うことにあります。
練習の具体的な流れ:
- 信号から信号までの間の200m程度を、スピード感を持って走る(5分00秒/km程度)
- 信号待ちの間は休憩として利用する
- 信号が青になったら、また同じようにスピードを上げて走る
- このパターンを前半5kmで繰り返し、とても疲れた状態を意図的に作り出す
- 後半5kmは、その疲れた状態のままレースペース(5分35秒/km程度)でずっと走り続ける
この練習がかなりきついのは、前半で意図的に疲労を溜めてから、その状態でレースペースを維持しなければならない点です。
フルマラソン後半を意識して「キツイ状態・疲れた状態でいかにレースペースを維持するか」という実戦的な能力を鍛えることができます。
この練習を通じて、苦しい中でもペースを落とさない精神力と身体の耐性がつきました。フルマラソン本番の30km以降の苦しさをシミュレーションしながら、こんな感じで自分なりに練習をカスタマイズしてました!
平日10kmラン(2回目)
木曜日に行う2回目の10kmランは、1回目とは目的が異なります。コースは1回目と同じですが、こちらは強度を抑えたペース走です。
2回目の10kmランの特徴:
- ペースはマラソンペース(5分40秒/km程度)か、それよりも遅い6分00秒/km程度
- 主な目的は持久力を付けることと脂肪燃焼
- 強度を抑えることで、身体に過度な負担をかけずに練習できる
強度の高い練習ばかりを繰り返すと身体への負担が大きく、怪我のリスクも高まります。そのため、比較的楽なペースで走ることで、身体に過度な負担をかけずに持久力の基盤を作ることができます。
火曜日の強度の高い練習の後、水曜日は休養日にして、木曜日にこの比較的軽い練習を入れることで、メリハリのある効果的なトレーニングサイクルを作ることができます。
30km走or20km走

土曜日には、週の中で最も距離の長い練習を行います。
理想は30km走ですが、その日の体調や疲労の具合によってできない時もあります。そのような場合は無理をせず、20kmに変更します。
30km走の実施方法:
- 基本ペースは6分00秒/km程度を目安にする
- 前半は余裕を持って走り、後半のペース維持を意識する
- 可能であれば後半ビルドアップ(徐々にペースを上げる)を目指す
- ラスト3kmは5分30秒/kmよりも速いスピードで走れるように意識する
- 後半がきつくなったら、ペースを7分00秒/km程度まで落として心拍数の回復を待つ
- 落ち着いたら再度レースペースに戻すという練習を繰り返す
30km走では、フルマラソン本番を想定した実戦的な練習を行います。ただし、実際には後半がとてもきつくなり、歩いてしまうこともありました。
しかし、ここで重要なのは「歩かない」という意識です。(実際は歩くことも多々ありましたが笑)
この「歩かずに遅いペースで走って回復を待つ」という技術は、本番でも役立ちました。
サブ4を目指すレベルのランナーにとって、後半に歩いてしまうことが失敗の大きな原因になります。歩くと想像以上にタイムをロスしますし、一度歩いてしまうと再び走り出すのが難しくなります。
LSD
以下の動画でLSDがサブ4につながったと思うポイントもご紹介していますので是非ご覧ください!
日曜日には、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)を実施します。
LSDとは、長い距離をゆっくりとしたペースで走るトレーニング方法です。私の場合は、7分30秒/km程度のペースで120〜150分走りました。
LSDの主な効果:
- ミトコンドリアの増加(細胞内でエネルギーを生み出す器官が増える)
- 毛細血管の強化(筋肉への酸素供給が向上する)
- 脂肪をエネルギーに変える力を養う
- 長時間運動を続ける能力の向上
- 体脂肪の燃焼促進
マラソンのような長時間の運動では、糖質だけでなく脂肪を効率的にエネルギーとして使える身体が必要です。ゆっくりとしたペースで長時間走ることで、この能力が向上します。
LSDの魅力は、ゆっくりと走れるのでリラックスしながら練習できることです。

初心者にも取り組みやすく、身体への負担も比較的少ないです。私はこの時間を、以下のように活用していました。
- フォームの確認とイメージトレーニング
- 1週間の練習の振り返りと改善点の洗い出し
- 次週の練習にどのように改善を取り入れるかを考える
- 心身ともにリラックスして、ランニングの楽しさを再確認する
本番も歩かずに07:00/kmで走れること
LSDを通じて、もう一つ重要な能力を身につけることができました。それは「どんなに疲れていても、7分00秒/kmで走り続ける能力」です。
以下に「前半500mは05:40/kmで走り、後半500mは07:00/kmで走る」場合と、「前半500mは05:40/kmで走り、後半500mは12:00/kmで歩く」場合に、1kmでどれくらいの時間がかかるかの比較図を載せます。


- 後半500mは07:00/kmで走る場合は1kmに06:20かかります。
- 後半500mは12:00/kmで歩く場合は1kmに08:50かかります。
この場合、レースペース05:40/kmから遠ざかるのは後者の「後半500mは12:00/kmで歩く」場合です。
フルマラソンのレース本番では、30km以降にとてもしんどくなり、歩きたくなる瞬間が何度も訪れますが歩いてしまうとこのように大幅にタイムロスしてしまいます。
そのため、しんどくても歩くのではなく、7分00秒/kmのペースに落として回復を待つことが大事です(しんどいのは重々承知ですが)。そして心拍数が落ち着いたら、レースペースに戻します。
この「ペースダウン→回復→ペースアップ」のサイクルを練習で何度もシミュレーションしました。そして本番でも同じ戦略を実践できるよう、身体に覚え込ませました。
30km走やLSDの練習でこのことをシミュレーションし、実際にペースを落として走ることを繰り返し練習しました。この経験が、フルマラソン本番でも実践でき、結果的にサブ4につながったと確信しています。
レース1週間前の過ごし方

レース本番が近づいてきたら、練習量を大幅に減らし、疲労を抜くことが最優先になります。この期間は「テーパリング」と呼ばれ、本番で最高のパフォーマンスを発揮するために非常に重要です。
レース週の練習スケジュール(日曜日レースの場合):
- 月曜日:完全休養
- 火曜日:完全休養
- 水曜日:3km程度をスピード感(5分20秒/km程度)を持って走る
- 木曜日:完全休養
- 金曜日:完全休養
- 土曜日:完全休養(移動日の場合もある)
- 日曜日:レース本番
水曜日の短い距離をやや速めのペースで走ることで、スピード感覚を維持しつつ、疲労を溜めないようにします。その練習でその週に1回だけ走り、あとは本番に臨みます。
「せっかく時間があるから走っておこう」という誘惑に駆られることもありますが、ここは我慢です。レース直前に頑張って走っても、走力が上がることはありません。むしろ疲労が溜まり、本番でのパフォーマンスが低下してしまいます。疲労をためないことが何よりも大事です。
この期間は十分な睡眠を取り、栄養バランスの良い食事を心がけ、万全の体調で本番を迎えられるよう準備しましょう。
レース前日・当日の食事

マラソンはエネルギーを大量に消費するスポーツです。そのため、レース前日と当日の食事は非常に重要になります。
レース前日の食事
レース前日は、しゃぶしゃぶなどの「野菜」と「お肉」がたくさん摂れる食べ物を食べていました。
食べるタイミングとしては、基本的に昼にたくさん食べるようにしていました。夜も食べますが、昼ほど多くはありません。これは、夜に食べ過ぎると消化に時間がかかり、翌朝胃もたれしてしまう可能性があるためです。
また、夜遅くの食事は睡眠の質を下げることもあります。良質な睡眠は翌日のパフォーマンスに直結するため、前日の夜は早めに軽めの食事を済ませることを心がけていました。
前日は過度に炭水化物を摂取する「カーボローディング」をする人もいますが、私の場合は普段より少し多めに食べる程度にしていました。急激に食事内容を変えると、お腹の調子が悪くなることもあるので注意が必要です。
レース当日の朝食
レース当日の朝食は、普段よりもたくさん食べました。具体的には、バナナ、納豆、おにぎり2個、プロテインヨーグルトなどです。バナナは消化が良く即効性のあるエネルギー源になるため、マラソン前の朝食には最適です。
納豆とおにぎりで炭水化物とタンパク質をしっかり摂取し、プロテインヨーグルトで追加のタンパク質と乳酸菌を補給します。
ただし、スタート時刻から逆算して、遅くともスタート3時間前までには朝食を終えるようにしていました。食べてからある程度時間を空けないと、走っている最中に胃が重く感じたり、腹痛の原因になったりします。
また、水分補給も忘れずに行いましょう。ただし、飲み過ぎるとトイレが近くなるので、スタート直前は控えめにしていました。
レース戦略

サブ4を達成するためには、練習だけでなくレース戦略も重要です。どんなに練習を積んでも、レース本番で戦略を誤ると目標を達成できません。
基本的には、5分30秒/km程度のイーブンペース(一定のペース)を目標にします。理論的には、このペースで走り続ければ約3時間52分でゴールできる計算です。ただし、ほぼ確実に後半にペースダウンするので、前半を5分25秒/km程度で走り、貯金を作っておくという考え方もあります。
しかし、サブ4レベルのランナーの場合、前半に飛ばしすぎると後半の失速が大きくなりがちです。そのため、私は前半を抑えめに入り、後半いかに失速を抑えるかという戦略を重視していました。
サブ4達成のためのレース戦略:
- 基本は5分30秒/km程度のイーブンペースを目指す
- 前半は余裕を持って走り、飛ばしすぎないよう注意する
- 後半(特に30km以降)の失速対策を最優先に考える
- しんどくなったら「歩く」のではなく「7分00秒/kmに落として走る」
- 心拍数が落ち着いたら、5分30秒/km〜5分40秒/kmのペースに戻す
- このペースの上げ下げを繰り返しながら、最後まで走り続ける
- 給水は確実に取るが、スピードを落としすぎないよう注意する
特にサブ4くらいのレベルの場合、「しんどくて歩いてしまう」ことがサブ4失敗の最大の原因になります。30km以降、脚が重くなり、心が折れそうになる瞬間が必ず訪れます。
この時に歩いてしまうと、1kmあたり3〜4分のタイムロスが発生し、サブ4が一気に遠くなります。
そのために、「30km走or20km走」の項目でもお伝えした通り、後半失速対策を戦略として考えておくことが重要です。このペースの上げ下げを繰り返しながら、最後までなんとか走り続けることができれば、サブ4達成の可能性は大きく高まります。
以下の動画では、過去に私がサブ4を何度も失敗した原因をお伝えしています。その改善方法として後半失速対策・レース戦略を話していますので是非ご覧ください!
サブ3.5・サブ3との難易度比較
サブ4を達成した後、多くのランナーが次に目指すのがサブ3.5です。では、難易度はどのくらい上がるのでしょうか。
| 目標 | 必要ペース | 完走者中の割合 | 前の目標との差 |
|---|---|---|---|
| サブ4 | 5分40秒/km | 上位約20〜25% | — |
| サブ3.5 | 4分58秒/km | 上位約12% | 43秒/km速く |
| サブ3 | 4分15秒/km | 上位約3% | さらに43秒/km速く |
サブ4からサブ3.5へのステップアップで、必要なペースは43秒/km速くなります。「43秒程度なら…」と思われるかもしれませんが、このペース差を42kmに渡って維持するのは、要求される走力が大幅に上がります。
私は現在サブ3.5に挑戦中ですが、サブ4を目指していた頃とは質の異なる練習(インターバル走やペース走など)が必要になり、体への負担も格段に増えています。
サブ4は「市民ランナーとしての入口」であり、サブ3.5・サブ3は「本格的なランナーの領域」と言えるかもしれません。
サブ4は何年かかる?達成までの期間の目安

「サブ4を達成するのに、どのくらいかかる?」という疑問も多くいただきます。現在の走力によって大きく異なりますが、目安をお伝えします。
- すでにランニング習慣がある方(月間50km以上):3〜6ヶ月の集中練習で達成可能
- 時々走っている程度の方:6ヶ月〜1年が目安
- まったくの運動習慣なしからスタート:1〜2年が現実的
私自身は、陸上経験もランニング習慣もゼロの状態から約2年かかりました。その間に複数回フルマラソンに出場し、失敗と改善を繰り返した結果です。
重要なのは期間ではなく、「継続できる練習量と質」です。月間150km以上を安定して走り続けられるようになれば、サブ4は必ず見えてきます。
サブ4達成に向けて:具体的に何から始めるか
難易度を理解した上で、実際にサブ4を目指すなら何から始めるべきか。私の経験をもとにした優先順位をお伝えします。
ステップ1:まず月間100kmを安定させる
走る習慣がない方は、いきなり高強度の練習をする必要はありません。まず週3〜4回、1回5〜10kmを継続して走れる体を作ることが最優先です。月間100kmが安定して走れるようになれば、サブ4に向けた本格的な練習の準備が整います。
ステップ2:週1回のロング走を習慣化する
ロング走なしにサブ4は達成できません。週に1回、20km以上のロング走を習慣化することで、フルマラソンの後半に対応できる脚の土台ができていきます。最初は15kmからでも構いません。少しずつ距離を伸ばしていきましょう。
ステップ3:レースペース(5分40秒/km)に慣れる
目標ペースで実際に走る練習を積み重ねることで、レース本番でのペース管理が格段に楽になります。週1回の10kmペース走を5分40秒/kmで走る練習を継続しましょう。
ステップ4:体重管理を意識する
体重はランニングパフォーマンスに直結します。長距離ランナーの理想的なBMIは18.5〜22程度と言われています。体重が1kg増えると、フルマラソンのタイムは約3〜4分遅くなると言われています。極端な減量は禁物ですが、適切な体重管理も大切な要素です。
ステップ5:レース戦略を立てる
どれだけ練習を積んでも、レース当日の戦略が間違っていればサブ4は達成できません。前半は必ず抑えめに入り、後半の失速を最小化する。「30km以降に勝負する」くらいの気持ちでペースを管理することが重要です。
サブ4に関するよくある疑問
Q. 初マラソンでサブ4は可能?
可能ですが、かなり難しいです。フルマラソン特有の「30kmの壁」や「ペース管理の難しさ」は、経験してみないとなかなか体感できません。初マラソンはまず完走を目指し、2〜3回目以降でサブ4に挑戦するのが現実的です。
Q. 女性がサブ4を達成するのはもっと難しい?
一般的に男性より達成率は低くなりますが、女性でも十分に達成可能です。女性は男性に比べて筋肉量が少ない分、長距離での持久力を活かしたランニングに向いている面もあります。適切なトレーニングを積めば、性別に関わらずサブ4は達成できます。
Q. 年齢が高くてもサブ4は達成できる?
できます。サブ4達成者が最も多い年代は40代とも言われています。マラソンは瞬発力より持久力のスポーツのため、年齢を重ねても走力は維持・向上できます。50代・60代でサブ4を達成しているランナーも多くいます。
Q. 月間100km程度でもサブ4は可能?
条件次第では可能です。元々の走力が高い方や、質の高いトレーニングができていれば、月間100km程度でもサブ4を達成しているランナーはいます。ただし、一般的には月間150km以上を安定して走れる方が成功率は高くなります。
まとめ:サブ4は「難しいが、届く目標」
この記事を通じてお伝えしたかった「サブ4の難易度」の本質は、こうまとめられます。
- フルマラソン完走者の上位20〜25%が達成する、決して簡単ではない目標
- しかし、本気でサブ4を目指してトレーニングを積んだ人の達成率は約76%
- 陸上経験ゼロ・ランニング習慣なしでも、継続と工夫があれば2年で届く
- 「諦めないこと」が最大の達成条件であり、失敗を繰り返しながら前に進むことが全て
私自身、何度も失敗して、何度も悔しい思いをしました。でも、諦めなかったからこそサブ4を達成できました。そしてサブ4を達成した瞬間の達成感と自信は、今でも鮮明に覚えています。
この記事を読んでいるあなたが、今まさにサブ4を目指して走っているとしたら、ぜひ諦めずに続けてください。正しく努力すれば、必ず届きます。応援しています。
サブ4達成後の景色:次のステージへ
サブ4を達成したランナーが口を揃えて言うのは、「達成した瞬間より、達成してからの変化の方が大きかった」ということです。
サブ4という目標に向かって走り続けた時間の中で、早起きの習慣がついた、食生活が改善された、体重が落ちた、集中力が上がった、精神的に強くなった—そういった変化が、ランニング以外の場面でも生きてくるようになります。
また、サブ4達成後は自然と「次はサブ3.5を目指そう」という気持ちが湧いてきます。一つの目標を達成したことで得られる自信と、さらなる挑戦への意欲。これがランニングの魅力の一つです。
私自身、現在はサブ3.5(3時間30分切り)に挑戦中です。サブ4の時とは全く異なる練習が必要で、まだまだ壁の高さを感じています。でも、サブ4を達成した経験が「諦めなければ届く」という確信を与えてくれています。
サブ4を目指すランナーへ:私からのメッセージ
最後に、今まさにサブ4を目指して練習しているランナーへ、実体験から伝えたいことをお伝えします。
失敗を恐れないでください
私はフルマラソンで何度もサブ4に失敗しました。35km地点で脚が止まり、歩いてゴールしたこともあります。「自分には無理かもしれない」と弱気になった夜もありました。でも、その失敗一つひとつが、原因分析と改善につながり、最終的にサブ4達成への道を作ってくれました。
失敗はデータです。「なぜ失敗したか」を冷静に分析して、次に活かす。その繰り返しがサブ4達成の本質的なプロセスだと思っています。
「続けること」が最強の戦略です
サブ4達成に特別な才能は必要ありません。継続できるかどうかが、ほぼ全てです。雨の日も、疲れた日も、モチベーションが上がらない日も、週に3〜4回走り続けること。この積み重ねが、気づけば大きな走力となって返ってきます。
「完璧な練習」を目指すより、「続けられる練習」を積み重ねる方が、サブ4への最短ルートです。
一人で頑張らなくていい
ランニングは個人競技ですが、仲間がいると継続力が全く変わります。SNSでランナーとつながる、ランニングクラブに参加する、同じ目標を持つ友人と一緒に走る—こういった「外部のつながり」が、きつい練習を乗り越える力になります。
私自身、YouTubeとXでの発信を通じて多くのランナーとつながり、お互いの練習記録や経験を共有することで、モチベーションを保ち続けることができました。
サブ4を目指すあなたへ、心から応援しています。必ず達成できます。諦めずに走り続けてください。
サブ4達成に役立つグッズ・ツール
練習を効率よく進めるために、私が実際に活用しているグッズとツールも紹介します。
GPS付きランニングウォッチ
サブ4を目指すなら、GPS付きランニングウォッチは必須アイテムです。1kmごとのペースをリアルタイムで確認しながら走ることで、オーバーペースを防げます。心拍数を計測できるものなら、練習強度の管理も精度が上がります。
GARMINやCOROS、POLARなどのブランドが定番です。サブ4レベルなら、エントリーモデルで十分な機能が揃っています。
ランニングシューズの選び方
シューズ選びも重要です。サブ4を目指すランナーには、クッション性と安定性のバランスが取れた「デイリートレーナー」タイプのシューズが適しています。厚底カーボンシューズは魅力的ですが、まずは走力を上げることが先決です。
私はサブ4を目指す期間中、薄底シューズをメインに使っていました。薄底で走ることで脚力が鍛えられ、フォームも改善されました。
Strava(ストラバ)などのランニングアプリ
Stravaは、走行距離・ペース・ルートを自動で記録してくれるランニングアプリです。過去の練習記録を振り返ったり、目標設定・進捗管理に活用できます。世界中のランナーとつながれる機能もあり、モチベーション維持にも役立ちます。
あきらめないことが大事!
最後に、一番重要なことをお伝えしたいと思います。
それは「あきらめないこと」です。
私、筆者Kは陸上経験なし、ランニング習慣なしの状態からマラソンを始めました。最初は5kmを走るのもやっとで、フルマラソンを完走できるようになるまでにも時間がかかりました。
ランニング開始から約2年でサブ4を達成しましたが、その間、何度もサブ4に挑戦しては失敗しました。
私が経験した失敗の数々:
- 35km地点で脚が動かなくなり、歩いてしまった
- 前半に飛ばしすぎて、後半に大失速してしまった
- 体調管理に失敗して、本番で力を発揮できなかった
- 給水のタイミングを誤り、脱水症状になりかけた
- 練習不足でレースに臨み、途中でリタイアしそうになった
様々な失敗を経験しました。その度に悔しい思いをし、「もう無理かもしれない」と弱気になることもありました。しかし、諦めなかったからこそサブ4を達成できたのです。
失敗する度に原因を分析し、次はどうすれば良いかを考え、練習メニューを改善してきました。
そして、サブ4を達成した時、「こんな自分でもサブ4できたんだ」という達成感と自信が湧き上がってきました。ゴールした瞬間の喜びは、今でも鮮明に覚えています。
この経験から言えることは、特別な才能や経験がなくても、継続的な努力と工夫があれば、サブ4は必ず達成できるということです。
この記事を読んでくださっているあなたも、今まさにサブ4という目標に向かって努力している最中かもしれません。練習がきつくて心が折れそうになったり、レースで失敗して落ち込んだりすることもあるでしょう。
しかし、そこで諦めずに、一歩ずつ前に進んでいってほしいと思います・あなたのサブ4達成を心から応援しています。頑張ってください!





