今回紹介するのはこちらです。
『サイエンス・オブ・ランニング(SCIENCE OF RUNNING)』
2026年4月についに日本語版が発売されたこの本、累計177万部のランニング科学書です。ヤフーニュースにも取り上げられていて、気になって即購入しました。
今回はこの本を実際に読んだ私が、「この本に書かれていること」「なぜおすすめしたいのか」「どういう人に合う本なのか」をお伝えします。
結論を先に言うと——フルマラソンのタイムを縮めたいと思っている方は、ぜひ手にしていただきたい一冊です。
サイエンスオブランニングとはどんな本?
サイエンスオブランニングは、海外で「サイエンス・オブ〜」というシリーズで展開されている運動科学系の本の一冊です。「サイエンス・オブ・ストレッチ」など複数のタイトルがあるシリーズの中で、ランニングに特化した一冊がこれです。
著者はカナダ陸上競技連盟の理学療法士であり現役マラソンランナーでもあるクリス・ネイピア(Chris Napier, PhD)。オリンピックや世界選手権など、世界トップレベルの現場で選手をサポートしてきた専門家です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | クリス・ネイピア(カナダ陸上競技連盟 理学療法士・博士) |
| 日本語版監修 | 前河洋一(新潟食料農業大学教授・陸上競技部監督) |
| 出版社 | 株式会社カンゼン |
| 発売日 | 2026年4月17日 |
| ページ数 | 224ページ |
| 価格 | 3,300円(税込) |
| 対応レベル | 初心者〜上級者(超上級者)まで |
この本に書かれていること
「サイエンス」という名前がついているだけあって、この本の核になっているのは運動生理学とバイオメカニクスの2本柱です。
運動生理学とは
運動生理学というのは、走るときにエネルギーがどう使われているのか、使われた後の回復はどう行われるのか、といった「体の内側のメカニズム」を扱う学問です。
たとえば「なぜペースを上げると息が上がるのか」「なぜロング走の後半は足が動かなくなるのか」「練習の疲れはなぜ翌々日にピークが来るのか」——こういった問いへの答えが、運動生理学で説明できます。
バイオメカニクスとは
バイオメカニクスというのは、運動を行ったときに筋肉がどんな動作をするのか、どこの筋肉が使われているのか、負荷がかかっている箇所はどこなのか、を分析する学問です。
これがランニングに特化して書かれています。「走るときに使われる主な筋肉」「着地の瞬間にどの関節にどれだけの負荷がかかるか」「フォームの違いが故障リスクにどう影響するか」——こういったことがわかります。
バイオメカニクスはトレーニングへの応用だけでなく、故障予防にも直結する知識です。「どういう動作がどこに負荷をかけるのか」を知ることで、怪我をしにくいトレーニングを組み立てられるようになります。
座学から実践へ:筋トレ&ランニングメニューも収録
この本はただの座学だけではありません。運動生理学・バイオメカニクスの知識をベースにした筋力トレーニングのメニューとランニングのトレーニングプログラムも収録されています。
トレーニングメニューのレベル分けも丁寧で、以下のように定義されています。
- 初心者:フルマラソン4時間30分を目指す方
- 中級者:フルマラソン3時間45分を目指す方
- 上級者:フルマラソン3時間を目指す方
- 超上級者:2時間台を目指す方
このタイム設定を見てわかる通り、初心者からエリートランナーまで幅広いレベルに対応した本です。サブ4を目指している方にも、サブ3を目指している方にも、それぞれ学べる内容があります。
おすすめポイント① 図が多くてとにかくわかりやすい
実際に本を手に取って最初に感じたのが、1ページ1ページに必ず図が載っているということです。
「筋肉がこういうふうに動きます」「この姿勢ではここに負荷がかかります」——こういった内容がCGイラストで視覚的に表現されています。どのページを開いても図があるので、前提知識がなくてもイメージしやすい構成になっています。
私はこの本以外にも、ランニングや体の動きに関する本を読んだことがあります。以前に読んだ『体と動きで学ぶスポーツ科学』も決して悪い本ではないのですが、絵の数が少ない分、「何々筋」という筋肉の名前が出てきてもなかなかイメージできませんでした。今はChatGPTで調べたりして補いながら読むこともできますが、やはり本の中に図があるほうが圧倒的に見やすいですよね。
サイエンスオブランニングは全ページに図が入っているので、どこの筋肉を使っているのかが一目でイメージできます。
これは筋トレのポーズについても同様です。「どういう姿勢でやるのか」「足幅はどれくらい開けばいいのか」——こういった細かいところも図で示されているので、本を見ながらそのままトレーニングに活かせます。
ランニング初心者の方はもちろん、「今まで感覚でたくさん走ってきたけど座学はやったことがない」という方にも、非常に読みやすい本です。図が多いので流し読みもできるという点も、忙しいランナーにとってはありがたいポイントです。
おすすめポイント② その筋トレをなぜやるのかが明確にわかる
これが個人的に一番「すごい」と思ったポイントです。
たとえばプランク。ランナーにはおなじみの体幹トレーニングですが、「なんとなく体幹にいいから」という理由でやっている人も多いのではないでしょうか。私もそうでした。
この本では「旋回フロントプランク」というメニューが紹介されているのですが、そのページにはなぜこのトレーニングが必要なのかの説明が明確に書かれています。「ランニング時の上半身と下半身の間で力を効率よく伝達するために必要な体幹の安定性を高める」という内容です。
さらに、関連する解説ページに戻ることで「体幹の安定性が走りにどう影響するか」という全体像とつながる構成になっています。一個一個のトレーニングについて「なぜそれをやるのか」「どこに効くのか」が図入りで丁寧に説明されているのです。
知識がない状態でランニング系のコンテンツを見ていると、「このトレーニングが効果的」とは言われるけど「なぜ効果的なのか」まで説明されていることは少ないと感じます。そこが丁寧に書かれているのは、初心者にとって本当にありがたいです。
YouTubeでもさまざまなトレーニング動画が上がっていますが、この本にはYouTubeではなかなか学べないバイオメカニクスや運動生理学の観点が詰まっています。自分にとってはかなり目新しい内容が多く、非常に勉強になっています。
おすすめポイント③ なんとなく練習する時間が減る
「なぜその練習をするのか」がわかると、自然と練習の目的がハッキリします。これが3つ目のおすすめポイントです。
「こういう走り方をするためにここの筋肉を鍛える」——この因果関係が見えると、「じゃあこの動作のためにこの筋トレをするんだ」という目的意識が生まれます。なんとなく体を動かす時間が減っていきます。
バイオメカニクスの知識が加わると、さらに一歩進んで「筋トレで強化した筋肉をランニング中にどう活かしているか」まで意識できるようになります。
もちろん、なんとなく走ることが悪いわけではありません。気持ちよく走るジョグにはそれ自体の価値があります。
ただ、限られた時間の中でパフォーマンスを高めたい、タイムを縮めたいと思っているならば、「なんとなく練習する時間」はなるべく少ないほうがいい。知識をつけた後にそれを実践に結びつけることで、トレーニングの効率化につながると思っています。
私自身、月に200km走っていた時期があっても、なかなかタイムが縮まらなかった経験があります。量だけ積んでいて、質が追いついていなかった。この本を読んで「なぜその練習が必要なのか」を理解してからは、練習の中身への向き合い方が変わりました。
おすすめポイントのまとめ
3つのおすすめポイントをまとめるとこうなります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 図が多くてわかりやすい | 全ページにCGイラストあり。前提知識ゼロでもイメージしやすい |
| ② その練習をする理由が明確 | 一個一個のトレーニングに「なぜやるのか」の説明が図入りで書かれている |
| ③ なんとなく練習する時間が減る | 目的意識が生まれ、限られた時間でのトレーニング効率が上がる |
どのような人に合う本なのか
おすすめポイントが明確になったところで、「実際にどういう人に合う本なのか」を整理します。
ランニングを理解して練習したい方
バイオメカニクスや運動生理学は、確かに少し難しい内容です。でも「多少難しくてもちゃんと理解したい」と思っているランナーにとっては、この本は最高の入り口になります。
多くの人がこういう科学的な知識を学ぼうとする理由は、結局タイムにつなげたいからだと思います。フルマラソンのタイムを縮めるために知識をつけたい、本で勉強したいという方に、この本は強く響く内容が詰まっています。
フルマラソン完走を目指す初心者の方にも、サブ4・サブ3.5・サブ3を目指す方にも対応しています。タイムのレベルを問わず、「本気でタイムを縮めたい、そのために知識をつけたい」という気持ちがあれば、この本は間違いなく役立ちます。
学ぶ機会が少ない方
私のように一人で練習していると、学ぶ機会がほとんどありません。
コーチや指導者に見てもらえる環境があれば理想的ですが、住んでいる地域によってはそういった機会がなかったり、費用的に難しかったりすることもあります。また、仮に指導者をつけたとしても、「なぜそのトレーニングをやるのか」という背景知識を自分でも持っていると、指導の内容がより深く理解できます。
一人で練習していて、何から勉強したらいいかわからない、やっている筋トレやトレーニングが正しいのか確信が持てないという方——そういう方にこの本はめちゃくちゃ役立ちます。
ただ一つ注意点があります。本で知識をつけて実践に移しても、それが正しくできているかどうかを自分一人では見ることがなかなか難しいです。フォームの確認などは、動画を撮って自分でチェックするか、可能であれば人に見てもらうのが理想です。本はあくまで「知識のインプット」の場として活用し、実践では適宜フィードバックをもらう機会を作れると、より効果的です。
自分だけのトレーニングを探求したい方
「なぜそれをやるのか」という知識がつくと、自分で考えて練習を組み立てる力がついてきます。これがこの本の最終的な価値だと思います。
たとえばスピードを上げたいと思っているとき、「一体何が足りないのか」を考えながら走ることができます。地面を蹴るときの力が弱いのか、スピードを上げると途中から足がしんどくなって力が入らなくなるのか。それぞれの問題に対して、どんなトレーニングが有効かを自分なりに考えて実践できるようになります。
「自分だけのトレーニングを探求したい」というのは上級者向けのように聞こえるかもしれませんが、初心者の方でも十分できることです。試行錯誤しながら自分に合ったトレーニングを見つけていくプロセス自体が、ランニングをより面白くしてくれます。
この本を参考にしながら色々と試して、自分なりのトレーニングを見つけたいという方には、サイエンスオブランニングはかなり合う本だと思います。
3,300円という価格について
この本の価格は3,300円(税込)です。
ランニングシューズと比べてみると、ランナー向けのシューズは1万〜3万円するものも多く、しかも3〜4ヶ月で消耗します。消耗品です。
一方でこの本は一度買えばずっと使えます。3,300円で買って1ページでも2ページでも勉強になる内容があれば、それは一生使える知識です。本や知識は消耗しません。
「1ページに1つ気づきがあれば200の気づき」と考えると、3,300円はかなりコストパフォーマンスが高い投資です。ぜひ書店やAmazonで手に取ってみてください。
私自身の話——なぜこの本が刺さったのか
少し個人的な話をさせてください。
私は中学・高校の体育の授業で走ることはありましたが、走り方を体系的に勉強したことは一度もありませんでした。正しいフォームとは何か、速く走るためにどこの筋肉を鍛えればいいのか、体のどこを意識して動かせばいいのか——そういったことを学ぶ機会がなかった。
社会人になってランニングを始めてからも、「なんとなく走る」「距離を積む」「レースに出る」を繰り返してきました。月に200kmを超えるような走行量を積んでいた時期もありましたが、なかなかタイムが縮まらない。何が足りないのかわからない。そのモヤモヤがずっとありました。
この本を読んで「改めてこういうことを今になって勉強してみると面白い」と感じています。バイオメカニクスを学ぶことで走り方への見方が変わり、運動生理学を学ぶことで練習の意味が見えてきた。今まで感覚だけでやってきたことに、理由と根拠がついてきた感覚があります。
ランニングを続けていくと、どこかで「もっと賢く練習したい」「感覚だけじゃなくて根拠を持って走りたい」と思う瞬間が来ます。そのタイミングでこの本を読むと、一気に視界が開けます。
この本を読む前と読んだ後で変わること
サイエンスオブランニングを読むと、具体的にどんなことが変わるのかをまとめます。
筋トレへの向き合い方が変わる
読む前:「体幹トレーニングが大事と聞いたからプランクをやっている」
読んだ後:「ランニング中に上半身と下半身の力を効率よく伝えるために体幹の安定性が必要で、フロントプランクはそのためのトレーニングだ」
同じプランクでも、目的を理解してやるのとなんとなくやるのでは、集中の仕方が変わります。
走り方への意識が変わる
読む前:「着地はミッドフットがいいと聞いたからそれを意識する」
読んだ後:「ミッドフット着地によって膝への衝撃が分散され、着地の衝撃を推進力に変える効率が上がる。そのためにどこの筋肉が使われているかも意識する」
故障への向き合い方が変わる
読む前:「また膝が痛い。しばらく休もう」
読んだ後:「この痛みのメカニズムは何か。どの筋肉の弱さや動作の問題が原因として考えられるか。休むだけでなく何を改善すべきか」
故障のメカニズムを理解していると、ただ休むだけでなく「原因を取り除く」という視点でアクションが取れます。
練習計画の立て方が変わる
読む前:「他のランナーの練習メニューを参考にして、とりあえず月200km走ろう」
読んだ後:「自分の現状の弱点はどこか。心肺機能なのか、筋持久力なのか、フォームの問題なのか。それに合わせてどんな練習を組み合わせるべきか」
まとめ
『サイエンスオブランニング(SCIENCE OF RUNNING)』を一言でまとめると、「感覚だけに頼ったランニングから、根拠を持ったランニングへ移行するための教科書」です。
3つのおすすめポイントを改めて振り返ります。
- ✅ 図が多くて初心者でもわかりやすい:全ページCGイラスト入りで、前提知識なしでも読める
- ✅ その練習をする理由が明確に書かれている:一個一個のトレーニングに「なぜやるのか」の根拠がある
- ✅ なんとなく練習する時間が減り、効率が上がる:目的意識を持って練習できるようになる
特にこういう方におすすめです。
- フルマラソンのタイムを本気で縮めたいと思っている方
- 一人で練習していて学ぶ機会が少ない方
- 運動生理学・バイオメカニクスを学んで効率のいいトレーニングをしたい方
- 自分に合ったトレーニングを探求したい方
価格は3,300円。ランニングシューズに比べれば断然安く、知識は一生使えます。今まで勉強してこなかった分野だからこそ、読んでみると面白い発見がたくさんあります。
ぜひ手に取ってみてください。動画でも詳しく紹介していますので、合わせてご覧いただければ嬉しいです。
よくある質問
Q. 初心者でも読めますか?
読めます。全ページに図が入っているので、専門用語が出てきても視覚的に理解できます。むしろ走り始めの段階でこの本を読んでおくと、故障予防やトレーニングへの理解が最初から深まるのでおすすめです。
Q. サブ4・サブ3.5を目指すランナーにも役立ちますか?
十分役立ちます。本の中のトレーニングメニューは4時間30分〜サブ3まで幅広く収録されています。それ以上に「なぜその練習が必要か」という理解が深まることで、今やっている練習の質が上がります。
Q. 本を読むだけで速くなれますか?
読むだけで速くなるわけではありませんが、「何をどう練習すべきか」の判断力が上がります。それを実践に結びつけることで、同じ練習時間でも得られる効果が変わってきます。
つけた知識を実践し、できれば人に見てもらいながら修正していくのが理想です。
サイエンスオブランニングで学べる主な知識
ここからは、この本で実際にどんな知識が得られるのかを、もう少し具体的に紹介します。
バイオメカニクスや運動生理学と言われてもピンと来ない方のために、「要するにどういうことが学べるのか」を噛み砕いてお伝えします。
走るときの体の動き(バイオメカニクス)
走るという動作は、一見シンプルに見えて実はとても複雑です。右足が地面に着いた瞬間から蹴り出すまでの間に、足首・膝・股関節・骨盤・体幹・腕と、体全体の筋肉と関節が連動して動いています。
サイエンスオブランニングでは、このランニングの一連の動作を「ストライドサイクル」として細かく分解し、それぞれのフェーズで何が起きているかを解説しています。
- 地面に着地する瞬間(初期荷重):どの筋肉が衝撃を吸収するか
- 体重が乗る瞬間(立脚期):どの筋肉が体を支えるか
- 地面を蹴る瞬間(推進期):どの筋肉が推進力を生むか
- 脚が空中にある時間(スウィング期):次の着地に向けてどう準備するか
これを理解すると「走るときにどこを意識すればいいか」「どこの筋肉が弱いとパフォーマンスに影響するか」がわかります。なんとなく足を動かしているだけだったランニングが、意味のある動作の連続として見えてきます。
エネルギーシステムの仕組み(運動生理学)
走るためのエネルギーはどこから来るのでしょうか。実は体には主に3つのエネルギーシステムがあり、走るペースや強度によって使われる割合が変わります。
- ATP-CP系:瞬発的な動き(短距離ダッシュなど)。数秒しか持たない
- 解糖系:中程度の強度で数分続く運動。乳酸が生成される
- 有酸素系:低〜中程度の強度で長時間続く運動。脂質・糖質を酸素を使って燃やす
フルマラソンは主に有酸素系が中心ですが、後半のスパートやゴール手前の追い込みでは解糖系も使われます。「なぜ30kmを過ぎると急に足が動かなくなるのか」「なぜ心拍数が上がりすぎると急に苦しくなるのか」——こういった現象の背景がエネルギーシステムを知ることで理解できます。
また、この知識があると練習の意味も変わります。
- ゆっくり長く走る(ロング走):有酸素系を鍛え、脂質を燃やす能力を高める
- ある程度のペースで継続して走る(テンポ走・ペース走):乳酸が溜まり始める閾値(LT値)を引き上げる
- 速く短く繰り返す(インターバル走):最大酸素摂取量(VO2max)を向上させる
こういった練習の「目的」がエネルギーシステムの理解と結びつくと、なぜメニューが設計されているのかが腑に落ちます。
故障のメカニズムと予防
ランナーが経験しがちな故障——膝の痛み、足底筋膜炎、シンスプリント、腸脛靭帯症候群など——が、どのメカニズムで発生するのかを解説しています。
故障の多くは「特定の部位への繰り返しの過負荷」が原因です。そして過負荷が起きる背景には、フォームの問題や筋力の偏り、走行量の急激な増加などがあります。
「なぜここが痛くなるのか」のメカニズムを知ることで、単に休むだけでなく「何を変えれば再発しないか」というアプローチが取れるようになります。同じ場所を繰り返し故障しているランナーには特に読んでほしい章です。
筋力トレーニングと走りの接続点
「筋トレはしているけど走りに活きている実感がない」というランナーは少なくないと思います。それはおそらく「なぜその筋トレが走りに必要なのか」が明確になっていないからです。
サイエンスオブランニングでは、30種類以上の筋力トレーニングが収録されており、それぞれについて「どの筋肉を使っているか」「走りのどの局面に効くか」が図で示されています。
たとえばシングルレッグデッドリフト(片足で行うデッドリフト)は、着地時の安定性を高めるためのトレーニングとして紹介されます。これを知ってからやるのと、「なんとなく下半身トレーニング」としてやるのでは、集中すべきポイントが変わります。
私がこれから実践したいこと
本を読んだ後、「自分のトレーニングにこれを取り入れたい」と感じたことがいくつかあります。今後の私のトレーニング記録の中で少しずつ紹介していくつもりですが、ここでも触れておきます。
バイオメカニクスを意識した走り
この本を読んで一番変えたいと思ったのが、走るときの「意識の持ち方」です。今まではペースや距離ばかり意識していましたが、体のどこがどう動いているかを意識しながら走ることで、フォームの改善につながると感じています。特に「接地の仕方」と「骨盤の動き」は意識的に変えていきたいポイントです。
目的を持った筋力トレーニング
これまでなんとなくやっていた体幹トレーニングを、走りの動作とつなげて意識するようにしたいと思っています。「このプランクは体幹の安定性を高めるためにやっている。これがランニング中の上半身と下半身の連動を支える」という意識で行うと、同じ時間でも得られるものが違ってくるはずです。
練習メニューの設計の見直し
今後、本に書かれているエネルギーシステムの理論を参考にしながら、練習の種類と強度の配分を見直していきたいと思っています。サブ3.5を目指している私にとって、どんな練習をどのくらいの割合で取り入れるべきかを、感覚だけでなく理論的に組み立てていきたいです。
こういった実践の記録はこのチャンネルでも随時発信していきますので、チャンネル登録していただけると嬉しいです。「この本のこの理論を試してみたら、こういう変化があった」という形で、実体験として紹介していきます。
サイエンスオブランニング——この本との向き合い方
最後に、この本との良い向き合い方についてお伝えします。
一度で全部理解しようとしなくていい
224ページ、内容も濃いので、一度読んで全部理解しようとする必要はありません。興味のある章から読む、気になった部分だけ深く読む、という使い方で十分です。図が多いので流し読みできる部分も多く、「また気になったら戻ろう」という使い方が向いている本です。
読んだ内容を練習で試してみる
知識は使ってこそ意味があります。「この筋肉が着地に関係しているなら、次のランニングで意識してみよう」という形で、読んだことを次の練習で少しずつ試してみてください。理解が深まるのはテキストを読むときではなく、実際に走りながら「あ、これがそういうことか」と感じるときです。
チャンネルと本を合わせて使う
私はこの本で学んだことを、実際のトレーニングに当てはめながら今後も発信していきます。「本を読む時間はないけど動画なら見られる」という方は、チャンネル登録してください。「本で理解をしっかり深めたい」という方は、本と動画を組み合わせて使っていただけると、より理解が深まると思います。
サイエンスオブランニング——3,300円で、一生使える知識が手に入ります。ぜひ手に取ってみてください。
他のランニング本との違い
ランニング関連の本は日本でも数多く出版されています。「なぜこの本を選ぶのか」という疑問に答えるために、他の本との違いを整理しておきます。
モチベーション系の本との違い
走ることの素晴らしさ・楽しさを伝え、「読んだあと走りたくなる」タイプの本があります。それはそれで価値がありますが、サイエンスオブランニングはそういった本ではありません。すでに走る動機があるランナーに向けて、「より賢く、より効率よく練習するための知識」を提供します。モチベーションより「能力」を高めたい人向けの本です。
メニュー提供型の本との違い
「サブ4達成のための12週間プログラム」のように、具体的なトレーニングメニューを提示するタイプの本も多くあります。サイエンスオブランニングもトレーニングプログラムを収録していますが、それ以上に「そのメニューがなぜ効果的なのか」の理由に重きが置かれています。メニューをこなすだけでなく、自分でメニューを考えられる力をつけることがゴールです。
特定の故障に特化した本との違い
膝の痛みに特化した本、足底筋膜炎の対策本など、特定の故障をテーマにした本もあります。サイエンスオブランニングは特定の故障ではなく「故障が起きるメカニズム全般」を解剖学的に理解することで、どんな故障にも応用できる土台の知識を提供します。
英語圏での評価——世界のランナーが絶賛する理由
英語版が発売された2020年から世界中で読まれてきたこの本。英語圏でのレビューも紹介しておきます。
「Very useful and practical. I understand the basics a lot better now. This book gave me the tools to understand my training and what the point of each session is.」(Goodreads)
→ 非常に実用的。基礎がずっとよく理解できるようになった。トレーニングを理解し、各セッションの目的を把握するためのツールをこの本が与えてくれた。
「Awesome quick read. It really gets in to the science and mechanics of running. From form to strength exercises to training goals…it’s got everything!」(StoryGraph)
→ ランニングの科学とメカニズムに本当に踏み込んでいる。フォームから筋力エクササイズ、トレーニング目標まで、全てが揃っている。
専門家の評価も高く、「Now runners new and gnarled veterans alike can have a reference manual good enough to put their physio out of work(初心者からベテランまで、理学療法士要らずの参考書が手に入った)」(Athletics Illustrated)とまで言われています。
世界177万部という数字は伊達ではありません。世界中のランナーが「この本で練習への見方が変わった」と感じてきた一冊が、ついに日本語で読めるようになりました。
購入・入手方法
サイエンスオブランニングは2026年4月17日発売の新刊です。
- 出版社(カンゼン)公式ページ:https://www.kanzen.jp/book/b10168129.html
- Amazon:「サイエンス・オブ・ランニング」で検索
- 書店:スポーツ・ランニングコーナーに並んでいることが多いです
価格は3,300円(税込)。ランニングを本気でやりたい方にとって、間違いなく持っておく価値のある一冊です。
ランニングの「知識格差」をなくす一冊
ランニングを続けていると、「陸上部出身の人はなんでこんなに詳しいんだろう」と感じることがあります。練習の種類や目的、体の使い方——そういった基礎知識を、学生時代に指導者から学んでいる人たちがいる一方で、社会人になってから走り始めた市民ランナーはそういった環境に恵まれていません。
いわゆる「知識格差」です。
サイエンスオブランニングはその格差を埋めてくれる本です。世界トップレベルの現場を知る専門家が書いた、ランニングの科学書が日本語で読める。これは市民ランナーにとって大きなチャンスだと思っています。
月に何百キロも走って体を酷使するよりも、まず体の仕組みを理解して、効率よく練習する。同じ時間・同じ距離でも、質を高めることで結果が変わります。そのための土台を作ってくれるのがこの本です。




