ランニングでタイムを縮めるために重要となるのがシューズです。
フォームや練習メニューが同じでも、接地の感覚・推進の出方・疲労の残り方が変われば、練習の質そのものが変わります。とくにサブ4前後の層は、走力が伸びる時期と同時に、故障リスクも上がりやすい時期です。
「速く走れる靴」を選ぶのではなく、「伸びる練習が続く靴」を選べるかが、結果的に最短でタイム短縮につながると感じています。
今回レビューするのは、ASICSのTARTHER RP 3(ターサーRP3)。コンセプトはシンプルで、「自分の足で蹴る感覚を研ぎ澄ませたレーシングシューズ」。そしてレースだけでなく、スピードトレーニングやテンポランにもおすすめと公式で明言されています。
薄底=我慢ではなく、薄底のダイレクト感を残しながら、スピード練習の頻度を上げられる方向に作られているのがRP3の面白さです。
筆者Kについて|サブ4へ「地脚作り」を優先している理由

筆者Kはサブ4達成のために地脚作りをしたいと考え、TARTHER RP 3を履いていました。
陸上経験がなく筋持久力が弱い自覚があるので、まずは走り続けられる脚を作ることが先でした。サブ4ペース(目安として5:40/km前後)なら、厚底カーボンでタイムを上げるより、土台を作って安定して走れる状態を作ったほうが、結果的に近道になると考えていました。
そのため普段のトレーニングは薄底を中心に組み立てていました。当時のメインはTARTHER RP3で30km走もLSDもしていました。
将来的に厚底・厚底カーボンを履くのはもちろん楽しみですが、今は「履きこなせる脚」を作る準備期間と考えています。
そのことについて動画内でも話していますのでよろしければぜひご覧ください!
なのでこの記事が、同じようにTARTHER RP 3で地脚つくりに励みたい方の参考になれば嬉しいです。
TARTHER RP3とは?
TARTHER RP 3は、ASICS公式ページで「自分の足で蹴る感覚を研ぎ澄ませたレーシングシューズ」と紹介され、用途としてレースだけでなく スピードトレーニング/テンポランが挙げられています。
RP3の立ち位置を一言で言うなら、ターサーらしい“蹴って進む感覚”を残しながら、練習の主力として回しやすい要素を強化したモデルです。
公式の技術説明も分かりやすく、FF BLASTミッドソールで「軽さとエネルギッシュな反発性」を出しつつ、新構造のPROPULSION TRUSSTICと組み合わせることで「蹴る感覚とスピード感を高いレベルで両立」とされています。
さらにASICSGRIPと3D TETRA SOLEの組み合わせで、路面を噛むようなグリップ性にも貢献する、と明記されています。薄底系にありがちな「速いけど脚が終わる」を少しでも減らし、速い日を増やすための設計――それがRP3です。
- 特徴①:蹴って前に出る感覚を作る
- 特徴②:最後の一押しまで噛むグリップ
- 特徴③:地味に効く続けやすさ
RP3について「過去に履いたシューズ」として少し以下の動画で触れていますので、こちらもよろしければご覧ください!
特徴①|蹴って前に出る感覚を作る
RP3の核は、公式が強調しているFF BLASTミッドソールと、PROPULSION TRUSSTICの組み合わせです。
FF BLASTは軽さと反発性を生み出す素材として説明されており、そこにPROPULSION TRUSSTICを合わせることで、より速く、より効率的な走行を促すとされています。
ここで重要なのは、勝手に進むというより「自分で蹴った力が前に伝わりやすい」方向に働くことです。
薄底でタイムを狙うと、フォームが崩れた瞬間に推進力が逃げて、同じペースでも呼吸が苦しくなります。RP3は、蹴り出し局面のエネルギーロスを減らす狙いが明確なので、テンポ走・ビルドアップのような「少し速い状態を維持する練習」でメリットが出やすいと感じます。
厚底のようにラクではないけれど、薄底の中では「速い動きの反復」に向けた設計だ、と捉えるとイメージしやすいです。
特徴②|最後の一押しまで噛むグリップ
RP3はアウトソール面でも狙いがはっきりしています。
公式には ASICSGRIPアウターソールと3D TETRA SOLEの組み合わせが、路面を噛むような優れたグリップ性の発揮に貢献すると記載されています。
→TARTHER RP 3|ASICS
レースでも練習でも、実はグリップは「安心感」以上の価値があります。蹴り出しで微妙に滑ると、脚は同じ仕事量でも前に進まず、結果として疲労が増えます。
特にテンポ走やペース走は、速さよりも再現性が命です。今日は良かった、ではなく、同じ感覚で同じペースを刻めるかが伸びにつながります。
RP3はその再現性を底面から支える設計が入っているので、ターサーを「レース専用」で終わらせず、練習の柱にしやすい。薄底で練習頻度を上げたい人には、この方向性が刺さるはずです。
特徴③|地味に効く続けやすさ
通気性のあるメッシュアッパー、アッパー主要素材のリサイクルポリエステル使用、そして AHARPLUSヒールプラグで耐久性を向上など、細かな仕様が並びます。こういう情報は購入時に読み飛ばしがちですが、練習用として回すなら地味に重要です。
薄底は、走りが良くても「蒸れる」「踵が削れる」「足が当たる」などの不満が出ると使用頻度が落ちます。頻度が落ちれば、結局レース当日に慣れてない靴になってしまいます。
RP3は、練習でも使う前提が見える作りなので、テンポ走だけでなく、ウォームアップや流しまで含めて“出番を作りやすい”のがメリットです。
公式には靴底最大厚さが約31.5mmとも記載されており、極端に薄いだけのモデルではないことも分かります。
RP3はどんな人向け?
RP3は「自己ベスト更新を目指すランナー」に向けた一足で、レースだけでなくスピードトレーニングやテンポランにもおすすめ、とされています。
この条件を現実のランナー像に落とすと、刺さりやすいのは次のタイプです。
- サブ4〜サブ3.5を目指していて、ポイント練習の質を上げたい人
- 厚底だけだと脚が育っていない感覚があり、地脚を作りたい人
- 5km〜ハーフでスピードを磨きつつ、フルにもつなげたい人
RP3は「ラクに走る靴」ではなく、「速い動きで走れる身体を作る靴」です。
だからこそ、練習の柱として回していくと価値が出ます。逆に言うと、速い日が週に0回の状態だと、RP3の良さは出にくいかもしれません。
週に1回でもスピード練習を入れる人なら、RP3は一気に練習が締まる感覚をくれるはずです。
ただ、筆者KはRP3を履いていたころはスピード練習(インターバル)はやっていませんでした。ただ単に地脚を鍛えたいという感じで履いていました。
合わない人・注意が必要な人
ゆっくりの日が多い、LSD中心で距離だけ踏みたい、故障明けで脚を守りたいという条件だと、このシューズのコンセプトにあまり向かないかもしれません。
薄底はフォームの癖がそのまま出ます。
疲れてくると接地が乱れやすい人、ふくらはぎ・アキレス腱に張りが出やすい人は、導入初期に走る量を増やしすぎないのが大切です。
RP3は走らされるというより自分で蹴る靴なので(筆者Kはそこが気に入っているポイントです)、蹴りが強くなりすぎると張りが出るケースもあります。
最初はゆっくりとした走りや、短い距離の練習(5kmだけ等)から入るのが安全です。
サイズ感の考え方
RP3にはSTANDARDとWIDE が公式で用意されています。どちらが正解かは足型次第ですが、判断を簡単にするなら「走ってむくんだ後に、前足部が苦しくなるか」で決めるのがおすすめです。
長い距離を走ると足はむくみます。
レースで後半に指が当たる、爪が黒くなる、前足部が痺れるという経験があるなら、WIDEを検討する価値があります。
逆に、足入れの時点で余裕がありすぎると、ターサーの良さである蹴った力の伝わりやすさが薄れることもあります。
可能なら夕方〜夜、足が少しむくんだ状態で試着し、つま先の余裕(指が軽く動く)と踵のホールド(抜けない)の両方が取れるサイズに寄せるのが失敗しにくいです。
ちなみに筆者KはSTANDARDサイズでは普段(27.5cm)よりワンサイズ大きい28.0cmを履いていました。なのでSTANDARDサイズを選ぶなら0.5cm大きめがいいかもです。
TARTHER RP3とTARTHER JAPANの違い|「練習で回すRP3」「研ぎ澄ますJAPAN」
この2足はどちらもターサー系ですが、公式の商品説明を読むとキャラクターがはっきり分かれます。
TARTHER RP3は、FF BLASTとPROPULSION TRUSSTICで「蹴る感覚とスピード感の両立」、ASICSGRIP×3D TETRA SOLEでグリップ性に貢献、そしてテンポランやスピード練習にもおすすめという練習で使う前提が強いモデルです。
(ただ筆者KはフルマラソンもTARTHER RP3で走りました。)
一方のTARTHER JAPAN は公式で「レジェンドモデル」とされ、秒単位で争うシリアスランナー向けに踏み込みのパワーを推進力へ伝達する構造、前足部にデュオソールを搭載し「路面を噛んで走る」着地感と優れたグリップ力を持つ、と説明されています。
まとめると、
RP3=薄底の感覚を残しつつ、練習頻度を上げて伸ばす
JAPAN=よりダイレクトに研ぎ澄まして走りを作る
この違いです。どちらが上ではなく、「どの練習を主戦場にするか」で選ぶのが自然です。
↓TARTHER JAPANに関する記事はこちらからご覧ください。
【レース距離別】RP3の使い分け
RP3はレーシングシューズですが、公式が想定している用途は「自己ベスト更新」「テンポラン/スピード練習」です。
この条件から距離別に考えると、RP3が最も気持ちよくハマるのは5km〜ハーフあたりですが、地脚を鍛える意味でRP3の使用は十分に有効です。FF BLAST×TRUSSTICの狙い(軽さと反発、効率的な走行)がある程度あり(厚底ほどはないですが)、少しのサポートを借りながら走行に活かしやすいからです。
フルマラソンでの使用は、初めてのフルで履いてもいいですが、足裏が痛くなると思います。なのでフルに出場するのはRP3で何度(3回くらい?)か30km走を積んでからがおすすめです。
薄底は後半にフォームが崩れると一気にしんどくなるので、30km以降も脚が残る状態を作れているかが鍵になります。筆者Kのようにサブ4目標で地脚作りが目的なら、どのレースもRP3で走るのがおすすめです。
購入時のチェックリスト
最後に、購入前のチェックポイントを整理します。
まず大前提として、本来RP3のコンセプトはマラソンや長距離ジョグの靴ではなく、テンポランやスピード練習に寄せたシューズです。(どのように履くかは人によるとして…)
サイズは試着して
- つま先にほんの少し余裕があること
- 踵が抜けないこと
- 前足部が横に当たりすぎないこと
を確認します。
足幅が広い人・むくみやすい人はWIDEを検討できるのもRP3の良いところです。また、RP3は公式で「通気性のあるメッシュアッパー」などの記載があるので、夏場の練習でも使いやすい反面、冬は厚手ソックスとの相性も出ます。普段履くソックスで試着するのが地味に大事です。
買うタイミングは、2026年1月現在、いくつかの通販サイトで12,000円~14,000円で販売されています。ただセールなどのタイミングで価格は変わります。
価格だけで決めず、まずはサイズとフィットを最優先にして納得できる状態で購入するのがおすすめです。
まとめ:RP3で地脚を作る!
TARTHER RP3は、蹴る感覚を中心に置きながらFF BLASTとPROPULSION TRUSSTICでスピード感を引き出し、ASICSGRIP×3D TETRA SOLEでグリップ性にも寄せたモデルです。
公式がテンポランやスピード練習を推奨していますが、筆者Kのようなフルマラソン初心者が地脚つくりのために履くのもありです。ただし薄底な分、負荷が高いのでじっくりと練習する必要があります。急に練習しすぎるとケガのリスクが高まります。
ぜひ一度RP3を手にして地脚つくりに励んでみてください!


